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太陽の光のような​心の訓練

Mind Training like the Rays of the Sun
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近年、チベット仏教は世界中に広まり、特に欧米諸国において関心がもたれるようになりました。

​キリスト教が主な宗教である欧米で、そのように受け入れられたのは、どのような理由からなのでしょうか?

ダライ・ラマ法王は、チベット仏教には、①哲学、②科学、③宗教の三つの側面があるとおっしゃっていて、このうちの

「①の哲学と②の科学は私たちも学ぶべき価値がある」

とおっしゃっています。

このことからもチベット仏教は宗教という枠組みを超えた学際的で極めて論理的かつ科学的なものであるということが分かります。こうした点が、論理を重んじる西欧諸国に広まった理由のひとつであるともいえるでしょう。

また、キリスト教の「罪人である人間に対し、神が注ぐ自己犠牲の愛」を意味するアガペー(慈悲)に近い概念がチベット仏教には存在します。

それが「ロジョン」(菩提心)というものです。

この「ロジョン」は、日本語では「心の訓練」とも訳されます。

幸せとは何なのかということや、運命学を突き詰めていくと、

『「我執(自己愛着)」がすべての苦しみの原因である』

ということに気づけるようになっていきます。

そしてその「我執(自己愛着)」を取りさるための最も効果的なチベット仏教の修行法のひとつに、

「自分の幸せを相手に与え(慈)、相手の苦しみを自分が引き受ける(悲)」

という<トンレン>というロジョンの瞑想実践法があります。

この<トンレン>の最も偉大な師といわれる方が、十一世紀の時代に生きたゲシェ・チェカワという方です。

 

私がこの、ゲチェ・チカワという方の名前をはじめて知ったのはソギャル、リンポチェの著書『チベットの生と死の書』を通してでした。

「すべての利益となるものは人の元へ、すべての損失となるものは我が元へ」

というランリ・タンパという方の書かれた八つの詞章の一文に衝撃を受け、この二行の実践をし続け、完全に「我執」を捨てきった人がゲシェ・チェカワという人だということをはじめて知ったのです。

さらにその中で著者が、

「『慈悲』の行に関しては、チェカワの行ったこのこの『トンレン』の行が最も有益で強力なもののひとつであり、彼はその行の最も偉大な師のひとりである」

 と述べておられたことにも驚かされましたが、それ以上に私が感銘を受けたのはチェカワが晩年近くになって、弟子に向かい泣きながら語ったとされる次のくだりを読んだ時でした。

「自分は死後も地獄に生まれ変わってこの行の実践をし続けたいと一心に祈りつづけてきた。ところが不幸にも、と彼は言った、ちかごろ自分が仏国土のひとつに生まれかわることを示す実に鮮明な夢を繰り返し見るようになったのだ。彼は意気消沈し、涙を流して弟子たちに訴えた。どうかお願いだから、そうならないように仏たちに祈っておくれ、地獄に行って衆生を救うという悲願を果たせてくれるように、仏たちに祈っておくれ、と」

私は、このような考え方で死を迎えられるほどに「我執」を捨てきった人がいたという事実にただただ驚き、この時からゲシェ・チェカワについてさまざまに調べるようになりました。

その結果分かったことは、彼自身が心の訓練に関する「七つの要点」というものを著わしたこと、そして日本ではいまだにほとんど彼のことは知られておらず、その「七つの要点」の詳しい解説書のようなものもないということ、でした。

しかしながら現ダライ・ラマ法王のいらっしゃるゲルク派の開祖であるツォンパカの直弟子にナムカ・ペルという方がいて、彼がツォンパカからこの「七つの要点」の鍵となるものを直伝として伝えられ、それが十三世紀に「七つの要点」の解説書として著書に著されたものが存在する、ということも知りました。

それが、

「太陽の光のような心の訓練」

という著書です。

私は「七つの要点」の内容を知りたい一心でこの本の翻訳を日本にいるチベットの学者とともにしたところ、

チベット文献図書館からこの本の邦訳の許可を得て、2014年に出版させていただく機会に恵まれました。

幸せになるためには、私たちの外側の環境相を変えていくことが必要です。

そして、私たちの心の内側に根付いている「我執(自己愛着)」を取り除いていけるチベット仏教の奥義ともいえる「心の訓練(ロジョン)」法を、皆さんと一緒に学んでいけたら、と願っています。

         

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